卒業証書授与式 校長式辞

令和4年度の卒業証書授与式を、令和5年3月1日(水)に挙行しました。
卒業証書授与式での校長式辞を紹介します。

式辞

日1日と温かい春へと近づいている兆しが見え、ようやく日差しに春らしい暖かさが感じられるようになりました。この早春の佳き日に、令和4年度岡山県立津山工業高等学校の卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより、教職員、在校生、関係者一同にとりましても大変大きな喜びであります。
本来であれば岡山県教育委員会をはじめ御来賓の御臨席のもとで、全く制限のない式典としたいところではありますが、本年度はそれも叶わず、卒業生のマスク着用については若干の緩和をさせていただきましたが、会場規模の関係からご家族1名という制限を設けての開催とさせていただきました。何卒、御理解頂けますようお願い申し上げます。

ただいま、卒業生223名に卒業証書を授与いたしました。卒業生ならびに保護者の皆様、誠におめでとうございます。保護者の皆様には、今、晴れやかに巣立ちいく、お子様の英姿を目にし、幼いころからの生い立ちを思い出されるなど感慨もひとしおのことと存じます。

本年度の卒業生は、わが国でも新型コロナウイルスの感染拡大の兆しが見えたのと時を同じくして、本校に入学してきました。人生の中でも貴重な高校3年間を感染対策のなかで過ごすことになってしまいました。誰も経験したことがない3年間でありました。手探りで感染対策をしながら、世の中のすべての人が不安を抱えて過ごした3年間でありました。多感な時期をこのような環境下で、不安を抱えながらも、ものづくりや資格取得、部活動に取り組み、将来の自分自身の姿を見据えて努力し、それぞれの進路を決定しました。

 本校の校章である「アカンサス」は、ヨーロッパ南部を原産地とする植物で、ギリシアの国花、国の花です。古代ギリシア建築のコリント式の円柱にアカンサスの美しい葉の形が装飾化されて彫られたことに由来するアカンサスの花言葉は、「芸術」「技巧」です。このアカンサスの花言葉の通り、卒業生の皆さんの多くは、「ものづくり」の世界を進路先として選びました。そこでは、今まで経験したことがない仕事をしていくことになりますが、最初から上手くいくことは少ないと思います。色々なことで悩むことがあると思いますが、不安だからしっかり事前準備をしなければなりません。不安だから本やインターネットを利用して調べる必要があります。不安だから人に相談する必要があります。不安だから何度も確認をするのです。

▲本校校章のモチーフ「アカンサス」

「アカンサス」の紹介記事はコチラ

 日本を代表する大企業である「京セラ」の創業者である稲盛和夫氏は、「世の中に失敗というものはない。チャレンジしているうちは失敗はない。あきらめた時が失敗である。」と言われています。失敗から始まり、試行錯誤しながら改善していき完成させ、より良いものに仕上げていく。これが「ものづくり」の醍醐味であり、面白さです。自分だけ、できないと気を落とす必要はありません。最初は皆同じです。
また、稲盛氏は、「今日の成果は過去の努力の結果であり、未来はこれからの努力で決まる。」とも言われています。今年は、10年に1度といわれる寒波が津山に到来し、全国ニュースになるほどの大雪が降りました。そのような状況でも、鶴山公園の桜は、春に向けて準備を着々と進め、やがて一斉に芽吹き、人々を楽しませるために立派な花を咲かせます。卒業生の皆さんも、たいへんな3年間を過ごしましたが、本校で多くのことを身につけ、確実に成長しています。卒業後も、現状に満足することなく努力することで、やがて、美作津山地域を支える人財となって、立派な花を開かせることでしょう。10年後、20年後の活躍に期待しています。

 最後に保護者の皆様には、本校教育活動に多大な御支援と御協力を賜り心より感謝申し上げます。お子様の御健康と御活躍を祈念し式辞といたします。

令和5年3月1日

岡山県立津山工業高等学校

                         校長  高 林 康 徳

コメントは受け付けていません。